骨粗鬆症

1. 骨粗鬆症とは

骨粗鬆症は、「骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」と定義されています。つまり、骨密度が低下し骨質が劣化してしまった結果、骨強度が低下し、骨折しやすくなった状態、ということです。

現在、日本では推定1280万人が骨粗鬆症で、40歳~79歳を対象とした報告では女性は男性の3~4倍骨折しやすくなっています。

2. 骨粗鬆症の原因

 骨は毎日、破骨細胞により壊され(骨吸収)、そして骨芽細胞により作られ(骨形成)ています。このバランスが崩れ、壊される方が優位になってしまった状態が骨粗鬆症です。加齢や女性であれば閉経が原因となります。

3. 骨粗鬆症の問題点

骨粗鬆症になると骨が脆くなるため、骨折しやすくなります。大腿骨近位部骨折、脊椎の椎体骨折、橈骨遠位端骨折、上腕骨近位端骨折などが起こりやすい骨折です。特に大腿骨近位部骨折は、骨折後に移動能力が低下しやすく、生活するうえで大きな支障が残りやすい骨折です。

4. 骨粗鬆症以外の問題点

骨粗鬆症の問題点は、骨が脆くなることだけではありません。骨粗鬆症に加えて筋肉や関節などの運動器も同時に衰えていることが多いことが重要な問題です。これをロコモティブシンドローム(運動器症候群)といいます。この状態が進んでしまうと介護が必要となることがあるため予防することが重要です。

5. 骨粗鬆症は予防が大切

骨粗鬆症は予防が大切です。骨量は若年期に最大になり、その後次第に減少していきます。ですから骨量を減らしすぎないように、適正な体重を維持し、歩行などの有酸素運動や荷重運動に努め、たばこを避け、飲酒も制限(エタノール量で1日24g)にすることが大切です。 

6. 骨粗鬆症の治療

既に骨粗鬆症になってしまった場合には、骨粗鬆症の治療をすることをお勧めします。理由は、骨粗鬆症の治療を受けることにより、骨折する危険性を減らすことができるからです。

 骨粗鬆症の治療で大切なことは、運動、食事、薬です。

 

 ✩運動

  • 運動が最も大切です。散歩などの 有酸素運度のほか、負荷をかけた抵抗運動やストレッチなどが有効です。

 ✩食事

  • カルシウムを摂取することが重要です。 カルシウムは緑黄色野菜に多く含まれています。ただし、摂り過ぎはよくありません。
  • 避けた方が望ましい食品は、アルコールや、カフェイン、食塩、リンを多く含む食品です。

✩薬:現在は大きく分けて4種類の薬が使用されています。

  • ビスホスホネート:破骨細胞の活性を抑制し骨の吸収を抑える薬です。
  • SERM:エストロゲン作動活性により骨粗鬆症を改善します。
  • 副甲状腺ホルモン:骨形成を促進する薬です。
  • 抗RANKLモノクローナル抗体:破骨細胞の活性を抑制し骨の吸収を抑える薬です。6か月に1回の投与で十分です。

7. 学術的報告からの真実

1.牛乳はお勧めしません

 一般的には牛乳は骨粗鬆症に良く、骨を丈夫にすると考えられています。しかし、これは誤りです。既に1990年代に牛乳が骨折を予防することはなく、むしろ骨折のリスクが高まることが報告されています。しかし、残念ながらこれらの報告は無視され、いまだに牛乳は骨粗鬆症に良いと誤解されていることが実情です。

 

  • 女性では、毎日2杯以上の牛乳を摂取することは、大腿骨近位部骨折と橈骨遠位端骨折のリスクを上昇させる。

 (Feskanich D, Willett WC, Stampfer MJ, Golditz GA. Milk, dietary calcium and bone fractures in women: a 12-year prospective study. American Journal of Public Health 87: 992-997, 1997.)

2.動物性タンパク質を多く摂取することもお勧めしません

  •  女性では、動物性タンパク質や動物由来のカルシウム摂取量が多い国ほど、骨粗鬆症による股関節周囲の骨折(大腿骨近位部骨折)が多い。

(Abelow BJ, Holford TR, Insogna KL. Cross-cultural association between dietary animal protein and hip fracture: a hypothesis. Calcified Tissue International 50:14-18, 1992.)