生物心理社会モデル

生物心理社会モデルとは


「生物心理社会モデル」では、

痛い・痛みは、「身体」の感覚であるとともに、「情動」でもあると考えます。

つまり、「情動」であるため「心」の影響も受けると考えるということです。

これは、東洋医学の「心身一如」の考えに近いものです。

 

「生物心理社会モデル」では、

  • 生物医学的アプローチ
  • 心理的アプローチ
  • 社会的アプローチ

による治療を行います。



生物医学的アプローチ

——「痛み」は実際の「身体」の損傷に伴う感覚と考える治療アプローチです。

外傷などの—急性疼痛には有効ですが、慢性疼痛や難治性疼痛には、あまり有効ではありません。

”従来型”の痛みに対するアプローチで、現在、日本で普遍的に行われているほとんどの治療が該当します。

 

もちろん、このアプローチが誤っているということではありません。

急性疼痛、侵害受容性疼痛には最も有効な治療アプローチです。

  1. 身体に作用する薬剤
  2. 物理療法

——1.生物医学的アプローチでは、「身体」に作用する薬剤を用いて治療を行います。

 

該当する薬剤

  • 非ステロイド性鎮痛剤
  • アセトアミノフェン
  • ノイロトロピン
  • モルヒネ
  • トラマドール
  • プレガバリン
  • ガバペンチン
  • カプサイシン
  • リドカイン など

2.生物医学的アプローチでは、物理療法を用いて治療を行います。

 

物理療法

  • 牽引療法
  • 低周波治療
  • マッサージ など

心理的アプローチ

  1. 「心」に作用する薬剤
  2. 心理学の応用、認知行動療法

1.心理的アプローチでは、「心」に作用する薬剤を用いて治療を行います。

 

該当する薬剤

  • 三環系抗うつ薬
  • デュロキセチン
  • 漢方薬 など

漢方薬では、「心身一如」といって、「心」と「身体」は一つであり、お互いに影響を及ぼすと考えます。

まさしくこれは、「生物心理社会モデル」の心理的アプローチに合致しています。

漢方薬の詳細については、担当ページをご覧ください。

2. 心理的アプローチでは、心理学を応用した治療が求められます。

また、最近注目されている認知行動療法も、心理的アプローチの1つです。


社会的アプローチ

  1. 心理社会的要因に対処
  2. 認知行動療法

1.社会的アプローチは、医療では最も対応が難しいアプローチとなります。

 痛みには、”心理社会的要因”が関与することが報告されています。

 

心理社会的要因

  • 家族との関係
  • 職場での関係
  • 社会での関係
  • 交通事故
  • —金銭問題
  • —訴訟問題 など

これらの”心理社会的要因”に対処(解決あるいは改善)することで痛みを改善させます。

2.ここで大切なことは、—家族、職場、社会などがこれ自体として痛みを起こさせるのではないということです。

家族、職場、社会などの社会的環境から、われわれの—「考え・思い」により、痛みが生じるということです。

ですから、この「考え・思い」を変えることにより、痛みの治療が可能です。

これこそが認知行動療法ですので、認知行動療法は社会的アプローチによる治療法の一つといえます。