認知行動療法

認知行動療法とは

認知行動療法は、1960年代にAaron T Beckが提唱した治療方法です。

認知行動療法は、認知療法行動療法を合わせた治療体系(Beck AT: Thinking and depression: II. Theory and therapy. Archives of General Psychiatry 10: 561-571, 1964)で、医師あるいは医療従事者が患者と対話することにより、患者の「考え方(自動思考)」を変え、それにより「感情」を変え、結果として「行動」を変えることができるようにする治療法です。

 

認知行動療法は、「うつ病」に対して抗うつ薬よりも有意に効果的である(Gloaguen V, Cottraux J, Cucherat M et al: A meta-analysis of the effects of cognitive therapy in depressed patients. J Affect Disord. 49: 59-72, 1998)ことが報告されています。

現在では、認知行動療法は、不安障害、心的外傷後ストレス障害、睡眠障害、慢性疼痛(Williams AC, Eccleston C, Morley S: Psychological therapies for the management of chronic pain (excluding headache) in adults. Cochrane Database Syst Rev. 14: 11, 2012)、糖尿病などにも有効であることが報告されています。

 

慢性疼痛・慢性的な痛み・痛いに対しては、認知行動療法は他の精神療法より有効である(Morley S, Eccleston C, Williams A: Systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials of cognitive behaviour therapy and behaviour therapy for chronic pain in adults, excluding headache. Pain 80: 1-13, 1999)こと、6か月以上も効果が持続する(Flor H, Fydrich T, Turk DC: Efficacy of multidisciplinary pain treatment centers: a meta-analytic review. Pain 49: 221-30, 1992)ことが報告されています。

ガイドライン

『慢性疼痛治療ガイドライン』では、 認知行動療法は、

 

☆「CQ36:認知行動療法は慢性疼痛に有効か?」という問いに対して、推奨度・エビデンス総体の総括は“1A(行うことを強く推奨する)”と、最も高い推奨度およびエビデンスレベルとなっています。

(「慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究」研究班: IV. 心理的アプローチ、『慢性疼痛治療ガイドライン』、第1版、慢性疼痛治療ガイドライン作成ワーキンググループ、真興交易医書出版部、東京都、114-126、2018)

 

☆「CQ44:認知行動療法をリハビリテーションに導入し、治療に応用することは慢性疼痛治療として有効か?」という問いに対しても、推奨度・エビデンス総体の総括は“1B(施行することを強く推奨する)”と、最も高い推奨度・2番目に高いエビデンスレベルとなっています。

(「慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究」研究班: V. リハビリテーション、『慢性疼痛治療ガイドライン』、第1版、慢性疼痛治療ガイドライン作成ワーキンググループ、真興交易医書出版部、東京都、128-145、2018)

 

 ☆腰痛に関しては『腰痛診療ガイドライン2012』では、「認知行動療法は亜急性または慢性腰痛の治療に有用である」ことはGrade A(強い根拠に基づいており、行うよう強く推奨する)となっています。

 (日本整形外科学会・日本腰痛学会: 第4章 治療、腰痛診療ガイドライン2012、第1版、日本整形外科学会診療ガイドライン委員会・腰痛治療ガイドライン策定委員会、南江堂、東京都、2012)



『自主的認知行動療法』

このように認知行動療法が慢性疼痛・慢性的な痛み・痛いに有効であることは既に実証され、そして世界では既に広く行われております。

 しかしながら、日本では種々の状況からほとんど行われていないことが現状です。

 そのため、この現状を打破するために当クリニックの院長が作成した新しい認知行動療法、それが『自主的認知行動療法』です。

 

『自主的認知行動療法』は、ワークブック形式となっています。

 そのため、病院ではなく自宅などで自由な時間に、認知行動療法を学ぶことができます。

 

『自主的認知行動療法』は解説とワークが1つの章となっています。

 そのため、認知行動療法の内容を理解し、すぐに行動していくことで、痛みによって障害されている日常生活の活動性を改善しやすくなるほうに工夫しています。

 

『自主的認知行動療法』は、オーティスらの『慢性疼痛の治療:治療者向けガイド』(ジョン・D・オーティス:慢性疼痛の治療:治療者向けガイド、第1版、伊豫雅臣、清水栄司、星和書店、東京都、2011)の内容を基本としていますが、この内容をわかりやすくアレンジすると共に、「運動」と「瞑想」について独自に加筆しています。

 

近年、「運動」には、”Exercise-Induced Hypoalgesia”といって痛みを緩和する効果がある(Koltyn KF. Exercise-induced hypoalgesia and intensity of exercise. Sports Med. 32: 477-87, 2002; Koltyn KF, Brellenthin AG, Cook DB et al: Mechanisms of exercise-induced hypoalgesia. J Pain, 15: 1294-1304, 2014)ことが報告されるようになり、「痛み」に対するリハビリテーションの必要性の根拠ともなってきているため、『自主的認知行動療法』に追加いたしました。

 

また同様に、「瞑想」も東洋思想を元にして考案された第3世代の認知行動療法であるマインドフルネス認知療法(Mindfulness-based cognitive therapy)において重要な要素となっているため、『自主的認知行動療法』に追加しました。

まずは「慢性疼痛」・「難治性疼痛」の方に

『自主的認知行動療法』は、原則として、”従来型”の標準的な治療に加え、漢方薬・バイオフィードバックなどの治療を行っても痛みが続いている方に行います。

ですが、『自主的認知行動療法』を希望される方にも行いますので、御希望の方はその旨をお伝えください。