腰痛に対する自主的認知行動療法

腰痛の治療方針

腰痛は85%が痛みの原因が特定できない非特異的腰痛といわれ、心理社会的要因が影響していることが報告されています。

 

エメラルド整形外科疼痛クリニックでは、腰痛に対し、まずは

  • 西洋薬による内服治療
  • リハビリテーション

による治療を開始します。

 

これらの治療を行っても痛みがよくならない場合には、

  • 漢方薬
  • バイオフィードバック治療

を行います。

 

しかし、これらの各種の治療を行っても痛みがよくならない場合は、心理社会的要因が強く影響していると判断し、認知行動療法の1つであり、院長が考案した

  • 『自主的認知行動療法』

を行います。

『自主的認知行動療法』について

認知行動療法が慢性疼痛・慢性的な痛みに有効であることは既に実証され、そして世界では既に広く行われております。

 しかしながら、日本では種々の状況からほとんど行われていないことが現状です。

 そのため、この現状を打破するために院長が考案した新しい認知行動療法が『自主的認知行動療法』です。

 

『自主的認知行動療法』の一番の特徴は、ワークブック形式となっており、自宅・家で独習が可能なことです。

 そのため、患者さんは、病院ではなく自宅などで自由な時間認知行動療法を学ぶことができます。

 

『自主的認知行動療法』解説とワークが1つの章となっています。

 そのため、認知行動療法の内容を理解し、すぐに行動していくことで、痛みによって障害されている日常生活の活動性を改善しやすくなるように作られています。

『自主的認知行動療法』の特徴的な内容

『自主的認知行動療法』は、オーティスらの『慢性疼痛の治療:治療者向けガイド』(ジョン・D・オーティス:慢性疼痛の治療:治療者向けガイド、第1版、伊豫雅臣、清水栄司、星和書店、東京都、2011)の内容を基本としていますが、この内容をわかりやすくアレンジすると共に、「運動」「瞑想」について独自に加筆しています。

 

近年、「運動」には、”Exercise-Induced Hypoalgesia”といって痛みを緩和する効果がある(Koltyn KF. Exercise-induced hypoalgesia and intensity of exercise. Sports Med. 32: 477-87, 2002; Koltyn KF, Brellenthin AG, Cook DB et al: Mechanisms of exercise-induced hypoalgesia. J Pain, 15: 1294-1304, 2014)ことが報告されるようになり、痛みに対するリハビリテーションの必要性の根拠ともなってきているため、『自主的認知行動療法』に追加いたしました。

 

また同様に、「瞑想」も東洋思想を元にして考案された第3世代の認知行動療法であるマインドフルネス認知療法(Mindfulness-based cognitive therapy)において重要な要素となっているため、『自主的認知行動療法』に追加しました。

『自主的認知行動療法』による治療の実際

『自主的認知行動療』による治療が望ましいと判断された場合、あるいは患者様から希望があった場合に、『自主的認知行動療法』を開始します。

 

『自主的認知行動療法』は11の章から構成され、患者様には、自宅・家で1週間に1つの章に取り組んでいただきます。

そして、2~4週に1回の割合で外来を再診いただき、痛み心理状態の評価を行うとともに、院長と質疑応答をすることで理解を深め、活動性の改善を目指します。


『自主的認知行動療法』の学術報告

『自主的認知行動療法』は、難治性の疼痛疾患である複合性局所疼痛症候群に対して有効であることが報告されています。(益子竜弥ら、鈴木瞭太、笠原靖彦、井上雅之.難治性の複合性局所疼痛症候群に対する「自主的認知行動療法」の有用性 整形外科70(11): p1133-1138, 2019.)