骨粗鬆症の治療をする目的
骨粗鬆症の治療をする目的は、
・骨を強くすることで、転倒などで外力が掛かった場合に、骨折する危険性を減らすこと
です。
別な言い方をすると、
・既に骨粗鬆症により骨折してしまった方は、さらなる骨折を予防するため
・まだ骨粗鬆症による骨折を起こしていない方は、今後の骨折を予防するため
です。
骨粗鬆症の予防や治療をする3つの理由
骨粗鬆症の治療を勧めることには、3つの理由があります。
1. 骨折連鎖(くりかえし骨折)を防ぐため
2. 活動性が低下し、悪循環に陥るため
3. 骨粗鬆症による骨折は、生命の危険があるため
です。
1. 骨折連鎖を防ぐため
骨折連鎖とは、いったん骨粗鬆症による骨折が起きた後に、2回目の骨折が起きやすくなることを言います。
具体的には、閉経女性の場合、1年以内の骨折の相対リスクは5.3にもなってしまいます。
さらには、全期間、つまりその後の人生全体における骨折の相対リスクは2.1倍になってしまいます。

TACM van Geel et al. Ann Rheum Dis. 2009.
脊椎が1か所骨折してしまうと脊椎が2か所が骨折する確率は2~3倍になり、脊椎が2か所骨折すると3か所が骨折する確率は7~10倍になります。
太田博明. 骨は若返る! 骨粗しょう症は防げる!治る! 2016.
脊椎骨折が起きてしまうと、大腿骨近位部骨折の相対リスクは7.1倍になります。
O Johnell et al. Osteoporos Int. 2004.
このように、一度骨折が起きてしまうと、再び骨折が起きてしまう確率は上がり、その結果、さらに骨折の危険性が高まるという悪循環に陥ってしまいます。
この悪循環から脱出するために、骨粗鬆症を予防して骨折を起こさないことや、骨粗鬆症になってしまった場合には骨粗鬆症の治療を受けることが望ましいといえます。
2. 活動性が低下し、悪循環に陥るため
大腿骨近位部骨折が起きてしまった場合、退院後2か月で元通りに歩ける方、わずか約40%です。
J Magaziner et al. J Gerontol. 1990.
また、大腿骨近位部骨折が起きてしまった場合、約60%の方が1人で歩けなくなってしまいます。
太田博明. 骨は若返る! 骨粗しょう症は防げる!治る! 2016.
さらに、骨折が起きてしまうと、
⇒歩行障害が生じるとともに、再度の骨折への不安感が起きる
⇒不活動や閉じこもりになる
⇒社会から隔絶された状態となる
⇒一層、活動性が低下する
という悪循環に陥ってしまい、最終的には、寝たきりになってしまいます。
この悪循環から脱出するために、骨粗鬆症を予防して骨折を起こさないことや、骨粗鬆症になってしまった場合には骨粗鬆症の治療を受けることが望ましいといえます。
3. 骨粗鬆症による骨折は、生命の危険があるため
実は、骨粗鬆症による骨折は非常に危険です。
具体的には、大腿骨近位部骨折の場合、約20%の人が骨折後1年以内に死亡してしまいます。
太田博明. 骨は若返る! 骨粗しょう症は防げる!治る! 2016.
また、胸椎圧迫骨折・腰椎圧迫骨折の5年生存率は約60%であり、大腿骨近位部骨折の5年生存率は約50%しかありません。
C Cooper et al. Am J Epidemiol. 1993.
これは、胃癌の5年生存率の67.6%、大腸癌の5年生存率の70.0%よりも悪い数字です。
がんの統計2021, 公益財団法人 がん研究振興財団.

つまり、骨粗鬆症による骨折は胃癌や大腸癌よりも生命の危険があるということです。
そのため、骨粗鬆症を予防して骨折を起こさないことや、骨粗鬆症になってしまった場合には骨粗鬆症の治療を受けることが望ましいといえます。

