ブレインフォグに対する世界初の治療法を開発

エメラルド式ブレインフォグ脳波ニューロフィードバック治療 Two-by-Four 8-Channel Z-score Neurofeedback Treatment for Brain Fog

エメラルド整形外科疼痛クリニックは、新型コロナウイルスの後遺症であるブレインフォグに対して脳波ニューロフィードバック技術を用いた世界初の治療法を開発し、治療結果が審査のある英文雑誌に掲載されました

ブレインフォグの現状

Brain fog from COVID-19

新型コロナウイルスの後遺症の1つであるブレインフォグ (brain fog)は、自覚として認知機能が低下したり、頭がはっきりしない、集中力低下などの主観的な症状を表す言葉です。
(Callan C et al. ‘I can’t cope with multiple inputs’: a qualitative study of the lived experience of ‘brain fog’ after COVID-19. BMJ Open 2022, 12: e056366. 10.1136/bmjopen-2021-056366)

未だ病態は解明されておらず、治療法についても、2024年現在、世界各国で治療法の研究開発が進められていますが、依然、有効性が確立した治療法は報告されていません。

ブレインフォグに対する世界初の治療法の開発

Hokkaido University, Sapporo, Dr. Clark

開発コンセプト

ブレインフォグと似た状態に、ケモフォグ(あるいはケモブレイン)と言うものがあります。
これは抗がん剤で治療中あるいは治療後に、ブレインフォグと同じような認知機能の低下が起きる状態のことです。
(Theoharides TC et al. Long-COVID syndrome-associated brain fog and chemofog: Luteolin to the rescue. Biofactors. 2021, 47:232-241. 10.1002/biof.1726)

そしてこのケモフォグ(あるいはケモブレイン)は、脳波ニューロフィードバック治療が有効なことが報告されています。
(Alvarez J et al. The effect of EEG biofeedback on reducing postcancer cognitive impairment. Integr Cancer Ther. 2013, 12:475-87. 10.1177/1534735413477192)

これら2つの事実から、新型コロナウイルスの後遺症で認知機能の低下を主な症状とするブレインフォグに対しても、脳波ニューロフィードバック治療が有効である可能性が示唆されます。

アドバンテージ:脳波ニューロフィードバック治療の実績

脳波ニューロフィードバック治療については、エメラルド整形外科疼痛クリニックは2019年の開院以来、慢性疼痛の患者様(保険適応)と、スポーツ領域や芸術領域でパフォーマンス向上をご希望される方(自由診療)に対し、脳波ニューロフィードバック治療を行ってきた豊富な治療実績があります。

inovation

治療法の開発を決断

以上のように、ブレインフォグに対しては脳波ニューロフィードバック治療が有効である可能性があり、エメラルド整形外科疼痛クリニックは既に臨床実績を有していました。

そのため、脳波ニューロフィードバック技術を用いたブレインフォグに対する治療法であるエメラルド式ブレインフォグ脳波ニューロフィードバック治療 (English name: two-by-four 8-channel Z-score neurofeedback treatment)を開発を決断しました。

ブレイクスルー:新しい医療技術の導入

しかし、ここで1つの問題がありました。
それは、ブレインフォグの場合、広範囲の脳が影響を受けている可能性が高いことです。
現在、一般的に行なわれている脳波ニューロフィードバック治療では、1つの端子で脳の1か所(10-20 International Systemとして合計19か所が定められています)に対してしか治療ができないため、この手法で治療を行うとすると、膨大な時間がかかってしまいます。

この問題を解決するため、最大4か所までを同時に治療することができるZ-scoreという新しい医療技術に着目しました。
しかし、Z-scoreが日本に導入されることは初めてであったため、多くの試行錯誤が必要となりました。

治療成績

ブレインフォグの患者さまに十分なご説明と同意の上、エメラルド式ブレインフォグ脳波ニューロフィードバック治療を合計15セッション施行しました。
ブレインフォグの症状が著明に改善し、その後、元の職場で通常勤務が可能になるまで改善しました。

患者さんが見るZ-scoreの画面です。脳の状態が良好な場合には、右の画面のアニメーションが動きます。

セッションを開始前と15回目のセッション施行後の脳波の変化結果です。Θ(シータ)波とα(アルファ)波が上昇し、Δ(デルタ)波とβ(ベータ)波は低下しています。

各セッション施行前、痛みや不安・うつ状態の結果です。セッション回数が増加するにつれ、特に痛みと不安が改善しています。

各セッション前後での脳波の変化結果です。驚くことに、1回目・2回目という初期のセッションでα(アルファ)波が上昇し、β(ベータ)波が低下しています。

審査のある英文雑誌に掲載

Efficacy of Original Neurofeedback Treatment Method for Brain Fog From COVID-19: A Case Report

前述のように、新型コロナウイルスの後遺症の1つであるブレインフォグに対しては確立した治療法がないため、エメラルド整形外科疼痛クリニックが開発した治療法は、ブレインフォグに苦しんでいる世界中の患者様の一助となる可能性があると考え、前述の治療成績を審査のある英文雑誌(peer-reviewed journal)に投稿し、受諾(accept)されました。
(Masuko T and Sasai-Masuko H. Efficacy of Original Neurofeedback Treatment Method for Brain Fog From COVID-19: A Case Report. Cureus. 2024. 16(3): e56519. DOI 10.7759/cureus. 56519)

エメラルド式ブレインフォグ脳波ニューロフィードバック治療

対象 エメラルド式ブレインフォグ脳波ニューロフィードバック治療

対象となる方

新型コロナウイルス感染症の後遺症(long COVID)であるブレインフォグ(Brain fog)に罹患
ある程度の期間(3か月を目安)が経過したにもかかわらず、症状が続いている
方が治療の対象となります。
なお、ブレインフォグ以外の新型コロナウイルス感染症の後遺症には治療は行っていません。

自由診療となります

新型コロナウイルス感染症の後遺症であるブレインフォグに対して確立した治療法はないため、従って保険適応となっている治療法もありません。
そのため、自由診療となります。
具体的には、脳波ニューロフィードバック治療は1回1万円(英語対応は$100)です。

ただし、初診診時の診察や、その際に必要と判断された画像診断や採血検査などは保険診療です。

治療の手順 エメラルド式ブレインフォグ脳波ニューロフィードバック治療

治療開始までの流れ

  1. 新患として通常通り受診していただき、必要に応じて各種画像診断や採血検査を行う(保険診療)
  2. 上記の結果、新型コロナウイルス感染症の後遺症であるブレインフォグと判断された場合は、脳波ニューロフィードバック治療を実施する意志を確認し、予約を行う(保険診療)
  3. 予約日に来院いただき、同意書に対する署名の後、脳波ニューロフィードバック治療を開始する(自由診療)

治療法の詳細・所要時間・料金

所要時間:約1時間、料金:1万円(英語での対応:$100)

  1. 治療前に8か所の脳波を測定
  2. 4か所で治療セッション(1)を施行
  3. 治療後に8か所の脳波を測定
  4. 別の4か所で治療セッション(2)を施行
  5. 治療後に8か所の脳波を測定
  6. 検査結果を解析
  7. 院長から治療効果や解析結果の説明
  8. 次回の予約
脳波ニューロフィードバック治療の大原則

脳波ニューロフィードバック治療の大原則

脳波ニューロフィードバック治療は、日本ではほとんど知られておらず、また実施されていませんが、海外では、うつ病・不安・不眠症・心的外傷後ストレス障害(PTSD)・注意欠陥障害(ADHD)・あがり性・パニック障害に対する有効性が確立しています。
しかし、効果を実感するまでには少なくとも10~20回、平均30~40回の施行を要すると報告されています。
(Longo RE: INTRODUCTION. A Consumer’s Guide to Understanding QEEG Brain Mapping and Neurofeedback Training 2nd edition. Longo RE (ed): Foundation for Neurofeedback & Neuromodulation Research, Greenville, USA; 2021. 15-16.)

エメラルド式ブレインフォグ脳波ニューロフィードバック治療は、同様に、効果を実感するまでに10~20回の施行を要することが想定されるため、治療開始後、早期に効果が得られないとしても、あせらず、じっくりと継続してください。


エメラルド整形外科疼痛クリニック

札幌市北区麻生に開院し、痛みに対して積極的に治療を施行(電話:011-738-0011)
・治療方針:「両極の治療」
・治療方針の解説:全国初の試みである『モデル症例報告』を通じて、わかりやすく詳細に解説
・特徴:多彩な独自の治療法漢方薬バイオフィードバックなど)
・リハビリテーション:理学療法士は担当制で、2単位40分で実施
骨粗鬆症『骨粗鬆症打開プロジェクト』を展開するなど、積極的に治療
・院長の書籍:『骨粗鬆症治療の真実と7つの叡智®~超健康と長寿の秘訣~』

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