🟢整形外科専門医が考える「痛み×漢方」
エメラルド整形外科疼痛クリニックでは、西洋医学による診断と標準的な治療を基本としながら、患者さんの症状や状態に応じて漢方薬を組み合わせた痛みの治療を行っています。
痛みの治療では、まず「なぜ痛いのか」を適切に評価することが重要です。
腰痛、膝の痛み、肩の痛み、首の痛み、手指の痛みなどには、骨・関節・筋肉・神経などさまざまな原因が関係します。
クリニックでは、整形外科的な診察や画像検査などから痛みの原因を評価し、西洋医学的治療をベースとしたうえで、治療の選択肢の一つとして漢方薬を活用しています。
漢方薬だけですべての痛みを治療するのではなく、患者さん一人ひとりの病態に応じて、西洋医学と漢方医学それぞれの特徴を生かすことを大切にしています。
クリニックが考える「痛み×漢方」とは
漢方医学には、現代医学とは異なる身体の捉え方があります。
現代の整形外科診療では、診察や画像検査などによって骨、関節、筋肉、神経などの異常を評価し、診断に基づいて治療を行います。
一方、漢方医学では、痛みそのものだけでなく、冷え、体力、体質、全身状態などを含めて患者さんの状態を捉え、使用する漢方薬を検討します。
エメラルド整形外科疼痛クリニックは、この二つを対立するものとは考えていません。
西洋医学による診断を基本にします
痛みの中には、骨折、感染症、腫瘍、神経障害など、原因を適切に診断して治療すべき病気が隠れている場合があります。
そのためエメラルド整形外科疼痛クリニックでは、最初から「漢方で治す」と決めるのではなく、まず整形外科専門医として痛みの原因を評価することを重視しています。
必要に応じて漢方薬という選択肢を加えます
診断結果や症状に応じて、薬物療法、注射、リハビリテーションなどの治療を検討します。
そのうえで、漢方薬を使用することが適切と判断した場合には、治療の選択肢として漢方薬を組み合わせます。
つまりエメラルド整形外科疼痛クリニックが目指しているのは、
「西洋医学か、漢方か」ではなく、適切な診断のもとで両者を使い分ける痛みの治療
です。
どのような痛みに漢方薬を使用するのか?
痛みに対する漢方治療では、病名だけで一律に漢方薬が決まるわけではありません。
同じ「腰痛」であっても、症状の現れ方、年齢、体力、冷えの有無などによって選択する漢方薬は異なります。
エメラルド整形外科疼痛クリニックでは、特に次のような整形外科領域の症状について、必要に応じて漢方薬を治療に取り入れています。
腰痛
急性腰痛から慢性的な腰痛まで、原因や症状を整形外科的に評価したうえで漢方薬の使用を検討します。
ぎっくり腰(急性腰痛)
急に発症した腰痛では、重篤な症状のほか、神経症状(筋力低下や知覚異常など)が隠れていないかを確認することが重要です。
そのうえで症状に応じた治療を行い、選択肢の一つとして漢方薬を検討します。
膝の痛み・変形性膝関節症
膝の痛み・変形性膝関節症については、原因を評価し、運動療法や薬物療法などとともに、患者さんの状態に応じて漢方薬を検討します。
肩こり・頸部痛
肩こりや首の痛みには、筋肉、頸椎、神経など複数の要因が関係します。
症状や全身状態を確認しながら漢方薬を検討します。
五十肩(肩関節周囲炎)
肩の痛みや動かしにくさについて診察を行い、リハビリテーションなどの治療とともに漢方薬を検討します。
手指の痛み・ヘバーデン結節
手指の関節痛やヘバーデン結節についても、症状や病態を評価したうえで漢方薬を検討します。
股関節痛・神経痛・慢性痛
股関節の痛み、神経に関連する痛み、長期間続く慢性痛についても、原因を評価し、通常の整形外科治療と組み合わせて漢方薬を検討します。
漢方医学では痛みをどのように考えるのか?
漢方医学では、患者さんの状態を「証」という考え方で捉えます。
「証」とは、単一の検査値や病名だけではなく、患者さんの体力、症状、身体所見などを総合して現在の状態を捉えるための漢方医学的な概念です。
代表的な考え方には、
虚証・実証
寒証・熱証
表証・裏証
気虚・気鬱・気逆
血虚・瘀血
水毒(水滞)
腎虚
などがあります。
これらは現代医学の診断名や病態そのものと同一ではありません。
エメラルド整形外科疼痛クリニックでは、現代医学による診断と漢方医学の考え方を混同せず、それぞれの特徴を踏まえて診療に活用しています。
生薬について
漢方薬は、いくつかの生薬が組み合わされて構成されています。
生薬は、植物、動物、鉱物由来ですが、それぞれ「個性」があります。
漢方薬と同じく、生薬ごとの「個性」を知ることも重要です。
痛みの治療で使用する代表的な漢方薬
整形外科領域の痛みに対して使用される漢方薬にはさまざまな種類があります。
エメラルド整形外科疼痛クリニックでも、患者さんの症状や状態に応じて複数の処方を使い分けています。
代表例として、
治打撲一方
二朮湯
麻杏薏甘湯
薏苡仁湯
加味逍遥散
補中益気湯
八味丸
五苓散
桂枝加朮附湯
防已黄耆湯
芍薬甘草湯
などがあります。
ただし、「腰痛ならこの漢方薬」「膝痛ならこの漢方薬」と病名だけで処方を決めるものではありません。
また、漢方薬にも副作用や使用上の注意があります。
それぞれの漢方薬について、どのような症状で使用されるのか、安全性や注意点を含めて個別ページで詳しく解説します。
エメラルド整形外科疼痛クリニック独自の漢方薬選択法
エメラルド整形外科疼痛クリニックでは、院長の臨床経験および学術的検討をもとに、漢方薬を選択するための独自の方法について研究・報告してきました。
『直漢法®』
『直漢法®』は、エメラルド整形外科疼痛クリニックの院長が漢方薬の選択について検討してきた独自の方法です。
従来の漢方医学の考え方を尊重しながら、漢方診療に習熟していない医師にも理解しやすい漢方薬選択の方法を目指して構築しています。
『エメラルド式革新的漢方薬選択法 Ver.1』
院長は、整形外科領域での漢方薬の使用経験をもとに、漢方薬選択の方法について検討し、その内容を医学雑誌で報告しています。
『エメラルド式革新的漢方薬選択法 Ver.2』
その後の検討をもとに選択法を発展させ、Ver.2として報告しています。
【重要】独自メソッドと医学的エビデンスについて
当院独自の漢方薬選択法や当院の臨床データは、外部のランダム化比較試験、システマティックレビュー、診療ガイドライン等と同じエビデンスレベルを意味するものではありません。
当サイトでは、外部の医学的エビデンスと当院独自の研究・臨床データを可能な限り区別して情報提供します。
漢方薬にも医学的エビデンスが重要です
「漢方だから西洋医学とは別」と考えるのではなく、漢方薬についても、どのような研究が行われ、どこまで効果や安全性が分かっているのかを確認することが重要です。
一方で、漢方薬に関する医学的根拠の強さは、疾患や処方によって異なります。
比較的研究が蓄積している領域がある一方、十分な質・規模の臨床研究が行われていない領域もあります。
エメラルド整形外科疼痛クリニックでは、
外部の医学論文・診療ガイドライン等
漢方医学における考え方
院長自身の研究報告
当院での臨床経験
をできるだけ区別して患者さんに情報提供することを重視しています。
漢方薬=「天然だから安全」ではありません
漢方薬は複数の生薬から構成される医薬品です。
「天然由来だから副作用がない」というわけではありません。
使用する漢方薬によっては、甘草、麻黄、附子、大黄、黄芩などの生薬に関連した副作用や注意事項があります。
また、複数の漢方薬を同時に使用する場合には、同じ生薬が重複することにも注意が必要です。
高齢の方、妊娠中・授乳中の方、心・腎臓・肝臓などに持病がある方、他の薬を服用している方では、特に慎重な判断が必要になる場合があります。
そのため、エメラルド整形外科疼痛クリニックでは漢方薬の効果だけでなく、安全性を考慮した処方を重視しています。
整形外科専門医が漢方薬を使う意味
痛みの治療で重要なのは、「漢方薬を処方すること」そのものではありません。
まず、その痛みが何によって生じているのかを診断することが重要です。
エメラルド整形外科疼痛クリニックでは、整形外科専門医が診察し、必要に応じて画像検査などを行い、痛みの原因を評価します。
そのうえで、
西洋薬の内服
注射治療
リハビリテーション
生活指導
漢方薬
などから、患者さんの病態に応じた治療を検討します。
漢方薬は、その中の一つの選択肢です。
エメラルド整形外科疼痛クリニックが目指しているのは漢方薬だけに偏った治療ではなく、
整形外科専門医として痛みを診断し、西洋医学による標準的な治療を基礎としながら、必要に応じて漢方薬を組み合わせる医療
です。
エメラルド整形外科疼痛クリニックの漢方薬に関する研究・学術活動
エメラルド整形外科疼痛クリニックの院長は、整形外科領域における漢方薬の選択・使用について検討し、医学雑誌等で報告しています。
代表的な報告として、
益子竜弥.漢方初心者でも漢方薬が出せる判別法―直漢法®とエメラルド式革新的漢方薬選択法.整形・災害外科 65巻,763–774,2022.
益子竜弥.古典的漢方医学概念に依らない漢方薬の運用2:エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2.関節外科 44巻,272–279,2025.
などがあります。
このサイトでは、これらの院長自身の研究・臨床データと、外部研究による医学的エビデンスを区別して紹介します。
動画でわかる当院の漢方薬治療
文章だけでは分かりにくい漢方薬について、院長が動画でも解説しています。
エメラルド整形外科疼痛クリニック「4.漢方薬」
今後は、「整形外科専門医が解説する 痛みと漢方」シリーズとして、腰痛、膝痛、五十肩、肩こり、ヘバーデン結節など、症状別の動画も順次掲載します。
漢方薬治療についてよくある質問
Q. 漢方薬だけで痛みを治療するのですか?
いいえ、当院では、まず整形外科的に痛みの原因を評価します。
そのうえで、西洋薬の内服、注射、リハビリテーションなどの治療とともに、必要に応じて漢方薬を使用します。
Q. 西洋薬が効かなければ漢方薬は効きますか?
必ず効くとは限りません。
西洋薬と漢方薬では治療の考え方や薬理作用が異なるため、西洋薬で十分な改善が得られなかった場合に漢方薬を検討することはありますが、効果には個人差があります。
Q. 漢方薬には副作用がないのですか?
いいえ、漢方薬にも副作用があります。
含まれる生薬によっては、偽アルドステロン症、肝機能障害、間質性肺炎などの重篤な副作用が問題になる場合もあります。
安全に使用するためには、患者さんの持病、併用薬、年齢などを考慮する必要があります。
[漢方薬の副作用・安全性を見る]
Q. 腰痛にはどの漢方薬が一番効きますか?
腰痛の原因や症状は患者さんによって異なるため、「腰痛ならこの漢方薬が一番」と一律に決めることはできません。
エメラルド整形外科疼痛クリニックでは整形外科的な診断を行い、症状や患者さんの状態などを考慮して使用する漢方薬を検討します。
[腰痛と漢方について詳しく見る]
Q. 「証」が分からないと漢方薬は処方できませんか?
漢方医学では「証」は重要な考え方の一つです。
一方、エメラルド整形外科疼痛クリニックの院長は、整形外科診療の中で漢方薬を活用するための方法として、直漢法®やエメラルド式漢方薬選択法について研究・報告しています。
[証について][直漢法®について][エメラルド式漢方薬選択法について]
Q. 漢方薬は長期間飲み続けても大丈夫ですか?
処方内容や患者さんの状態によって異なります。
長期間使用する場合には、症状の変化だけでなく、副作用や生薬の重複などにも注意する必要があります。
自己判断で漫然と服用を続けず、医師・薬剤師に相談してください。
痛みでお悩みの方へ
痛みの原因は一人ひとり異なります。
「漢方薬を飲めば治るのか」を最初に考えるのではなく、まず痛みの原因を適切に評価することが重要です。
エメラルド整形外科疼痛クリニックでは、整形外科専門医として痛みを診断し、西洋医学による治療を基本としながら、必要に応じて漢方薬を治療の選択肢として取り入れています。
腰痛、膝痛、肩こり、五十肩、首の痛み、手指の痛みなどでお困りの方はご相談ください。
監修・執筆者
益子竜弥
医学博士・整形外科専門医
エメラルド整形外科疼痛クリニック 院長
最終更新日:2026年10月1日

