新型コロナウイルスの後遺症

新型コロナウイルス感染症の後遺症(long COVID)に罹患し、苦しんでいる患者様が日本のみならず世界中に多数おられ、その中でも有名な症状が、咳、味覚障害、嗅覚障害ブレインフォグ(brain fog)などです。
なかでも、ブレインフォグの原因は未だ不明ですが、病態、症状、重症度のの関連、リスク因子などが判明してきています。
厚生労働省から「新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 別冊罹患後遺症のマネジメント 第1.1版」が発行され、公的機関から「新型コロナウイルスの療養終了後も続く症状(いわゆる後遺症)リーフレット」が発行されています。
このホームページの情報が新型コロナウイルス感染症の後遺症(long COVID)に罹患され苦しんでおられる方のお役に立つことができれば幸いです。

WHOおよび日本の定義

2021年10月にWHO(世界保健機関)は、「新型コロナウイルス感染が確認されたか、感染したと考えれらる人が、通常、COVID-19発症から3か月で、少なくとも2か月以上症状が持続し、他の診断による症状として説明がつかない状態」を、「post COVID-19 condition」と定義しました。
2021年12月に、日本の厚生労働省は、このWHOの定義を紹介し、「罹患後症状」と日本語に訳しました。

NICEの定義

NICE(英国国立医療技術評価機構)は、2020年12月に、COVID-19罹患後の症状で、他の診断で説明がつかない場合を、感染後4週間までをacute COVID-19、4~12週間までをongoing symptomatic COVID-19、12週間以上をpost COVID-19 syndromeと3つに分類し、ongoing symptomatic COVID-19とpost COVID-19 syndromeを合わせてlong COVIDと定義しました。

新型コロナウイルス感染症の後遺症(long COVID)の病態

新型コロナウイルス感染症の後遺症(long COVID)には、様々な機序が推定されています。
具体的には、
・新型コロナウイルスの肺への直接的な障害
・免疫調節不全による炎症の遷延化
・宿主内ウイルスリザーバーに関連した遷延するウイルス活動
・血栓症による虚血や臓器損傷
・レニン・アンジオテンシン系の調節不全
・重症例では、集中治療後症候群
などです。

(出典『COVID-19 神経ハンドブック』 下畑享良著、中外医学社、2022年)

新型コロナウイルス感染症の後遺症(long COVID)の代表的な症状

新型コロナウイルス感染症の後遺症(long COVID)の代表的な症状には、
・全身症状:倦怠感、関節痛、筋肉痛
・呼吸器症状:咳、痰、息切れ、胸痛
・精神・神経症状:記憶障害、集中力低下、不眠、頭痛、抑うつ
・その他の症状:嗅覚障害、味覚障害、動悸、下痢、腹痛、脱毛、筋力低下
が報告されています。

(出典『COVID-19 神経ハンドブック』 下畑享良著、中外医学社、2022年)

新型コロナウイルス感染症の後遺症(long COVID)の重症度

新型コロナウイルス感染症の後遺症(long COVID)の重症度と、新型コロナウイルス感染症の症状とは必ずしも関係しないと考えらえています。

(出典『COVID-19 神経ハンドブック』 下畑享良著、中外医学社、2022)

新型コロナウイルス感染症の後遺症(long COVID)のリスク因子

これまでの調査から、新型コロナウイルス感染症の後遺症(long COVID)に対して、高リスク因子、低リスク因子が判明しています。
具体的には、
・高リスク:高齢、肥満、女性、発症から7日以内の症状の数が5以上、喫煙、入院、生活困窮、全身状態の不調、流行前のメンタルヘルス不調
であり、
・低リスク:アジア人
と報告されています。

(出典『COVID-19 神経ハンドブック』 下畑享良著、中外医学社、2022)

新型コロナウイルス感染症の後遺症(long COVID)の現状

現在、新型コロナウイルス感染症の後遺症(long COVID)に、日本はもとより世界中で多くの方が苦しんでいます。
しかし、前述のように、新型コロナウイルス感染症の後遺症(long COVID)の病態がまだ解明されていないため、治療法自体も確立されておらず、手探りの状態で治療を行われている現状です。

エメラルド整形外科疼痛クリニックでの治療

関節症状に対する治療

現在、エメラルド整形外科疼痛クリニックには、新型コロナウイルス感染症の後遺症(long COVID)のうち、肩関節・肘関節などの関節炎の症状の患者様の治療を行っています。

ブレインフォグに対する治療

また、ブレインフォグ (brain fog)の症状に対して準備を進めておりましたが、2022年10月より治療を開始しました
前述のようにブレインフォグに対する治療は世界でもまだ確立していないため、エメラルド整形外科疼痛クリニックでの治療も試行錯誤が必要な段階ですので、状況に応じて現在の人数制限をしている状態から、順次、治療を行う患者様の人数を増員していく予定です。

また、エメラルド整形外科疼痛クリニックは、札幌市のホームページに掲載されているように新型コロナウイルス感染症の後遺症のうち「精神・神経症状」に対する対応症状別医療機関となっています。

咳、味覚障害、嗅覚障害に対する漢方薬による治療

新型コロナウイルスの後遺症である咳・味覚障害・嗅覚障害に効く漢方薬

エメラルド整形外科疼痛クリニックでは、状況に応じてですが、咳、味覚障害、嗅覚障害に対して治療を行っており、これらの疾患に対して、漢方薬が良く効くという印象をもっています。

新型コロナウイルス感染症の後遺症(long COVID)に対する厚生労働省や道庁からの発行資料

「新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 別冊罹患後遺症のマネジメント 第1.1版」

厚生労働省から、「新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 別冊罹患後遺症のマネジメント 第1.1版」が発行されております。
ご参考にあれば幸いです。

「新型コロナウイルスの療養終了後も続く症状(いわゆる後遺症)リーフレット」

北海道庁より、「新型コロナウイルスの療養終了後も続く症状(いわゆる後遺症)リーフレット」が発行されております。
ご参考にあれば幸いです。