🟢漢方薬の選び方―症状や「証」に応じた選択法
漢方薬の選択法には、いくつかの種類があります。
1. 「証」に基づいた漢方薬の選択
2. 「証」以外に基づいた漢方薬の選択
3. 直漢法®
4. エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.1
5. エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2
1.「証」に基づいた漢方薬の選択
上記の各種の漢方薬の選択法のうち、もっとも普遍的なものが、1. 「証」に基づいた漢方薬の選択です。
表・裏・熱・寒については、これらを組み合わせて「証」を表現します。
①表熱
表熱は、急性期・病気の初期や、体表部に近い部分で熱を持っている状態です。
整形外科疾患では、手関節の腱鞘炎や上腕骨外上顆炎などが該当します。
対応する漢方薬は、越婢加朮湯、白虎加人参湯などです。
②裏熱
裏熱は、慢性期や、体の深部が熱を持っている状態です。
対応する漢方薬は、小柴胡湯、加味逍遥散、抑肝散、桃核承気湯、通導散、五苓散などです。
③表寒
表寒は、急性期・病気の初期で自覚的に寒い状態です。
この自覚的の部分が大切で、例えば39度の熱があっても本人が「寒い」と感じれば、寒証です。
そのため、インフルエンザや風邪などの引き始めで、熱がある場合でも表寒となります。
対応する漢方薬は、桂枝湯、桂枝加朮附湯、葛根湯、麻黄湯、麻黄附子細辛湯、治打撲一方などです。
④裏寒
裏寒は、慢性期や、体の深部が冷えている状態です。
対応する漢方薬は、桂枝茯苓丸、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、疎経活血湯、六君子湯、補中益気湯、十全大補湯、大防風湯、半夏厚朴湯、二朮湯、防已黄耆湯、真武湯、八味地黄丸、牛車腎気丸などです。
⑤気虚
気虚は、全身の倦怠感、意欲低下、精神的・肉体的疲れなど、生命エネルギーが減少した状態です。
対応する漢方薬は、補中益気湯が最も有名で、ほかには、六君子湯、十全大補湯、大防風湯があります。
⑥気逆
気逆は、気が通常の循環ではなく、逆流した状態のことです。
冷えのぼせと言って、上半身に熱感、下半身に冷感がある状態が特徴です。
対応する漢方薬は、加味逍遥散が最も有名で、ほかには、抑肝散、桃核承気湯、通導散、治打撲一方、桂枝茯苓丸、五積散、桂枝加竜骨牡蠣湯があります。
⑦気鬱
気鬱は、抑うつ傾向など、気がうっ滞・停滞した状態のことです。
対応する漢方薬は、半夏厚朴湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、香蘇散、女神散があります。
⑧血虚
血虚は、血が不足した状態のことです。
血虚に対応する漢方薬は、四物湯が有名ですが、四物湯は単独で使われることはほとんどなく、代わりに四物湯を含む漢方薬である十全大補湯、大防風湯、疎経活血湯、当帰芍薬散、温経湯が使われます。
⑨瘀血
瘀血は、血の流れが滞った状態のことです。
瘀血を改善する漢方薬を駆瘀血剤と呼びます。
駆瘀血剤には、桂枝茯苓丸、加味逍遥散、疎経活血湯、治打撲一方、桃核承気湯、通導散などがあり、虚証・実証を考えて使います。
具体的にはこの順で虚証→実証に対応します。
著しい虚証の瘀血には桂枝茯苓丸、かなりの実証の瘀血には通導散です。
⑩水毒
水毒は、水の停滞・偏在があり、多くなってしまっている状態のことです。
対応する漢方薬は、五苓散が最も有名で、ほかには、猪苓湯、越婢加朮湯、加味逍遥散、桂枝加朮附湯、小青竜湯、治打撲一方、桂枝茯苓丸、五積散、六君子湯、補中益気湯、半夏厚朴湯、二朮湯、防已黄耆湯などがあります。
ちなみに証に当てはまる漢方薬が複数ありますが、この中から総合的に証を判断して漢方薬を選択することになります。
2. 「証」以外に基づいた漢方薬の選択法
I. 場所による選択
この方法は、西洋医学的であるため、多くの方には馴染みやすいと思います。
経験上、症状のある場所に応じて効く可能性が高い漢方薬があります。
頚部から肩:頚部から肩の症状の場合は、葛根湯が効くことが多いです。
肩:肩が痛い場合には、二朮湯が効くことが多いです。
上肢:上肢であれば、桂枝が入っている漢方薬が効きやすく、中では桂枝加朮附湯が効くことが多いです。
下肢:下肢であれば、牛車腎気丸が効くことが多いと言われていますが、それほど効く印象はありません。
II. 臓器による選択
これは完全に西洋医学に近い漢方薬の選び方です。
神経による症状:神経には五苓散がかなりよく効きます
神経による症状には、いわゆる坐骨神経痛(腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などによる神経の痛み)のほか、手根管症候群、肘部管症候群、頸椎症性神経根症、頸椎症性脊髄症などがありますが、五苓散はこれら一般に効果があります。
筋肉:筋肉の症状には、芍薬甘草湯が有効です。
しかしながら、芍薬甘草湯は漢方薬の有名な副作用である偽性アルドステロン症がもっとも出やすい漢方薬ですので、慎重に使用されることをおすすめします。
特に高齢の方はかなりの頻度で副作用が出るため、頓服以外ではすすめません。
整形外科疾患全般:治打撲一方
治打撲一方は、整形外科疾患全般に効きやすいです。
腰痛からケガの痛み、手術後の痛みなど、整形外科全般によく効きます。
ちなみに治打撲一方という名前は、「打撲などのケガを治す1処方」という意味なので、まさに整形外科向きの漢方薬と言えます。
III. それ以外による選択
上記以外による漢方薬の選択の手法です。
天気:五積散が有効なことがあります
実は天気が悪いと症状が増悪することがよくあります。
特に慢性疼痛という痛みが続いている状態ではなおさらです。
西洋医学でも、気圧症(気象病・天気痛)といって、気圧や気温、湿度の急激な変化によって自律神経が乱れ、心や体に不調が現れることを認知し始めました。
高気圧から低気圧になる際に痛みがひどくなるようです。
つまり、晴れから雨に天気が変わるときに症状が増悪します。
また、雨や強風になる前の日に痛くなります。
一旦雨となってしまえば、症状は変わりません。
女性:加味逍遥散が効きやすいです
実は、女性に良く効く漢方薬があります。
それが、加味逍遥散です。
ちなみに更年期障害にも良く効きます。
女性の妙薬としては、加味逍遥散のほか、当帰芍薬散がありますが、こちらはあまり効きません。
イライラして怒りっぽい:抑肝散
抑肝散は、文字通り、肝(癇癪のかんのこと)を抑える漢方薬です。
3. 直漢法®
直漢法®については、【直漢法®】をご参照ください
4. エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.1
エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.1については、【エメラルド式Ver.1】をご参照ください
5. エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2
エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2については、【エメラルド式Ver.2】をご参照ください