麻黄湯の生薬

麻黄湯は、麻黄、杏仁、甘草、桂枝から構成され、風邪などに有効な実証の漢方薬です。
札幌市北区麻生で痛みに対し多彩な独自の治療法を行うエメラルド整形外科疼痛クリニックは実証のウイルス疾患に対して麻黄湯を使用しています。

麻黄湯:ツムラより

麻黄湯は、医療機関を受診することにより、健康保険で処方してもらうことができます。
主なメーカーは、ツムラ(株式会社ツムラ)です。

麻黄湯の生薬

麻黄湯は、以下の生薬で構成されます。
・麻黄
・杏仁
・甘草
・桂枝

生薬の詳細

生薬の詳細について説明します。
<対応する証>
<東洋医学的効能>
<西洋医学的薬理作用>
<代表的な漢方薬>
について紹介し、そのあと、特徴を説明します。

中医学を基盤にしているため、難解な漢字が多くなり、理解することは容易ではないかもしれませんが、漢字のニュアンスを大切にしてそのまま記載しております。

麻黄

麻黄:まおう
<対応する証> 表証、寒証、水毒
<東洋医学的効能> 発汗散寒、宣肺平喘、行水消腫、活血通絡
<西洋医学的薬理作用> 解熱作用、発汗作用、中枢神経興奮作用、交感神経興奮様作用、血圧降下作用、鎮咳作用、気管支平滑筋弛緩作用(気管支拡張作用)、抗菌作用、抗ウイルス作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用、利尿作用
<代表的な漢方薬> 麻黄湯、麻黄附子細辛湯、葛根湯、麻杏薏甘湯

麻黄は、温めて寒さを治す作用の強い生薬で、寒証に有効です。
発汗散寒といって、汗を出すことで、寒さを改善し、解熱します。
宣肺平喘といって、咳を止める作用があります。行水消腫といって、むくみを改善し、水毒に有効です。

甘草

甘草:かんぞう
<対応する証> 虚証
<神農本草経> 上品
<東洋医学的効能> 補脾益気、解毒清熱、緩急止痛、潤肺(祛痰止咳)、調和薬性
<西洋医学的薬理作用> 抗炎症作用、解熱作用、鎮静作用、鎮痙作用、鎮咳作用、抗アレルギー作用、抗消化性潰瘍作用、胆汁排泄促進作用、ステロイドホルモン様作用、エストロゲン様作用、テストステロン産生抑制作用、フィブリン溶解活性亢進作用、肝障害予防作用、インターフェロン誘導作用、抗菌作用、抗ウイルス作用、抗腫瘍作用
<代表的な漢方薬> 芍薬甘草湯など

甘草は漢方薬に最も含まれる生薬です。
一般用漢方薬210種類中、150の漢方薬に配合されています。
甘草を摂りすぎると偽性アルドステロン症となり、低カリウム血症、高血圧、浮腫などになるので注意が必要です。
特に芍薬甘草湯は甘草の量が多いので、注意してください。

甘草は、補脾益気といって中焦である脾の気虚を改善します。
生の甘草は清熱解毒作用があり、特にジフテリア、破傷風、フグ、蛇毒に解毒作用があります。
緩急止痛とは、急(痙攣・収縮・緊張の意味)を緩めるという意味であり、筋肉の痙攣(こむらがえりなど)や胃腸の平滑筋の痙攣を緩和します
。潤肺とは、文字通り肺を潤すことで、肺熱による咳嗽を改善します。調和薬性とは、配合された他の生薬の作用を緩和することであり、寒性薬、熱性薬、瀉下薬などの作用を急激に起こすことなく、緩やかに効果が出るようにします。

この作用から、甘草は多くの漢方薬に配合されています。

桂枝

桂枝(桂皮):けいし(けいひ)
<対応する証> 表証、寒証
<東洋医学的効能> 散寒解表、温経、祛風寒、活血通絡
<西洋医学的薬理作用> 解熱作用、鎮静作用、鎮痙作用、鎮痛作用、血圧降下作用、末梢血管拡張作用、心臓収縮力増強作用、健胃作用、胆汁分泌促進作用、抗菌作用、抗真菌作用、抗ウイルス作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用、利尿作用、抗血管内凝固作用<代表的な漢方薬> 桂枝湯、桂枝茯苓丸、桂枝加朮附湯、五苓散
<効果的な部位・症状> 上肢

桂枝は、もっとも基本的な漢方薬である桂枝湯の中心的な生薬です。
基本的には桂枝は温めて寒さを治す生薬で、寒証に有効です。散寒解表とは、状況によって汗を出しながら(汗を出さないこともあります)、寒を改善し、解熱をするという意味です。
温経、祛風寒は経絡などを温めることにより寒さを解消する、という意味です。
さらに鎮静作用などもありますので、ストレスの症状にも有効です。

桂枝は肩、腕、手指に効きやすく、のちに登場する羗活は頭、項、脊椎に効きやすいです。