東洋医学による便秘外来

便秘とは

便秘は、日本消化器病学会のガイドラインでは、「本来体外に排出すべき便を十分量かつ快適に排出できない状態」であり、この状態が6か月以上前から生じ、少なくとも最近3か月間はその状態が続いている場合を慢性便秘症と定義しています。
このように便秘になると、お腹が張ったり、ガスがたまったりし、不快感が出るだけでなく、肌荒れ、肩こり、頭痛など、体の他の部位にも様々な症状も現れてきます。

便秘の種類

便秘症には、消化管に何らかの形としても異常がある器質性便秘と、消化管自体には形としても異常がないものの、能力に異常のある機能性便秘の2種類があります。
器質性便秘には、大腸癌やクローン病のほか、巨大結腸症、直腸瘤などがあり、こちらのついては消化器内科や婦人科でも精査をお勧めします。

機能性便秘について

慢性便秘症の多くは機能性便秘症で、大腸の動きが原因である排便回数減少型と、直腸と肛門の動きが原因である排便困難型の2つの分けられます。
さらに、排便回数減少型には、大腸通過遅延型と大腸通過正常型に分かれ、排便困難型には、硬便による排便困難と機能性便排出障害に分けられます。

機能性便秘の治療法

機能性便秘症の治療法には、生活習慣の改善薬物療法があります。
生活習慣の改善としては、規則正しい食習慣、適切な量の食物繊維の摂取、適度な運動などが行われます。
薬物療法としては、便秘を改善する薬ですので、いわゆる下剤になります。
下剤には、非刺激性下痢と刺激性下剤があります。

大腸メラノーシス

大腸メラノーシスは大腸黒皮症と言い、メラニン様色素がマクロファージに貪食されるため大腸粘膜が淡褐色から黒褐色になります。
センナ、大黄、アロエなどのアントラキノン系下剤の長期間の服用が原因と考えられています。
この変化は粘膜だけではなく腸管内の神経にも影響(大腸の筋層の神経細胞が減少する)を与える結果、これらの薬剤が服用当初は有効であったが次第に効かなくなる原因の1つと考えられています。
なお、現時点では癌との因果関係はないと考えらえています(各種の意見はあります)。

実は東洋医学は便秘にかなり有効!

有名な下剤は、東洋医学由来

ほとんど知られていませんが、実は東洋医学は便秘にかなり有効です。
その一例に、センノシド(プルゼニド®)があります。
センノシドは、西洋医学の薬剤として多くの内科医が主に頓服で使用する刺激性下剤ですが、実は起源は東洋医学です。
大黄という下剤に有効な生薬を調べた結果、有効成分として同定されたものセンノシドで、そのまま西洋医学の薬剤となりました。

大黄が便秘に有効であることは、東洋医学は紀元後3世紀に知っていた

大黄という生薬が便秘に効くことは、後漢時代の紀元後3世紀初期に張仲景が書いたとされる『金匱要略』に記載されています。
正確には、大黄と牡丹皮を主生薬とする大黄牡丹皮湯が下剤として有効であることが記載されています。
このように、西洋医学で頻繁に使用されていた薬剤が東洋医学由来であることからも、東洋医学が便秘に有効であることがわかります。

センノシドなど、西洋医学の下剤はだんだん効かなくなる

便秘の治療を受けたことがある方であれば、よくご存じのことだと思いますが、センノシドなどの西洋医学の薬剤は使用するに連れて効かなくなってきます。
その理由の1つは前述の大腸メラノーシスです。
いずれにしても、薬剤がだんだん効かなく結果、薬の量を増やさなければならないことは、よく知られています。

東洋医学は、大黄が次第に効かなくなることを知っていた

実は東洋医学は、大黄が使用するにつれて次第に効かなくなることを、かなり昔から知っていました
そして、これに対する対策法である大黄の欠点を補った便秘に対する漢方薬での治療法を既に完成させ、後世に伝えています。

残念ながら、多くの内科医は、便秘に有効な東洋医学の治療法を知らない

しかし、残念なことに、多くの内科医はこの大黄の欠点を補った便秘に対する漢方薬での治療法を知りません。
従来からある西洋医学薬に加えて、西洋医学の新薬が、近年、複数販売されており、これらの処方が便秘の主な治療法となっていることがその証拠です。

便秘症は、まずは消化器内科で精査が望ましい

便秘症の1つである器質性便秘には、前述のように大腸癌やクローン病があります。
そのため、便秘の方は、まずは消化器内科を受診し、これらの疾患があるかどうの診察を受けることをお勧めします。
これらの疾患がない場合には、各種の薬物治療法が始まることになると思いますが、その際には、治療法の1つとして、東洋医学による便秘治療をお勧めします。
特に、西洋医学による薬物治療を行っても思ったような効果が無かった方にお勧めします。

更年期で悪化する便秘もある

あまり知られてはいませんが、更年期で便秘が悪化することがあります。
これは更年期に各種ホルモンのバランスが不調になることが原因で、自律神経の不調を来すことが一因です。

実は生理痛と便秘に効く漢方薬は同じ

話はやや変わりますが、生理痛便秘は東洋医学では近似した病態です。
そのため、便秘に有効な漢方薬と生理痛に有効な漢方薬は、実は同じです。
また、漢方薬は更年期症状にも有効ですが、基本的に同じ漢方薬です。

「東洋医学による便秘外来」を開設

院長は、便秘・生理痛・更年期症状の治療を10年以上行っています

エメラルド整形外科疼痛クリニックの院長は診療科は整形外科ですが、東洋医学つまり漢方薬についても造詣が深く、日本疼痛漢方研究会学術集会での学会賞の受賞のほか、多くの漢方薬の学術報告をし、学術雑誌への執筆を複数依頼されています。近々では、メジカルビュー社の『関節外科 第44巻 2025年3月号 整形外科外来診療における漢方薬』に院長が考案した『エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2』が掲載されています。

便秘・生理痛・更年期症状についても同様に造詣が深く、便秘・生理痛・更年期症状に有効な治療薬を学び、これまで10年以上にわたる治療経験があります。

便秘・生理痛・更年期症状に有効な漢方薬は、一般的な医学書には記載されていない

内科の一般的の医学書には、便秘を治療する漢方薬が記載されています。
同様に、婦人科の一般的の医学書にも、生理痛や更年期症状を治療する漢方薬が記載されています。
院長が使用している便秘・生理痛・更年期症状に有効な漢方薬とは、これらの一般的に医学書には記載されていません。
ですが、漢方薬の専門書には、ヒントとして記載されています。

漢方薬は東洋医学の叡智

多くの患者様が、便秘・生理痛・更年期症状に悩んでいます。
そして医療機関を受診し治療を受けても、残念ながら思ったように症状が改善しなかった方が多いのではないでしょうか。

なぜでしょうか?
ここまでご説明したように、漢方薬に造詣が深い医師が使用する便秘・生理痛・更年期症状に有効な治療薬であれば、これらを一元的に治療できる可能性があります。
しかし残念なことに、便秘・生理痛・更年期症状を一元的に治療可能な漢方薬は、ほとんどの内科医にも婦人科医にも知られていないことが理由です。

そのため、エメラルド整形外科疼痛クリニックは、内科外来開設にあわせて、「東洋医学による便秘外来」を開設した次第です。
東洋医学の叡智である漢方薬による便秘などの治療をご希望の方は、エメラルド整形外科疼痛クリニックの「東洋医学による便秘外来」をご一案ください。