
自由診療でチエナム®を使用することに対する懸念
へバーデン結節におすすめの漢方薬は、エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2(出典:益子竜弥. 古典的漢方医学概念に依らない漢方薬の運用2:エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2 関節外科、44巻、p272-280、2025)から、1位から6位まで順に、桂枝加朮附湯、麻杏薏甘湯、治打撲一方、二朮湯、大防風湯、薏苡仁湯です。最近、イミペネム・シラスタチン(チエナム®)という非常に強力な抗生物質が水に溶けずらい性質を利用して、動注(動脈注射)することによりモヤモヤ血管を塞栓(つまり、動脈を詰まらせる)ことによりヘバーデン結節が良くなるという自由診療を行っている医療機関が日本各地(札幌を含めて)存在しますが、日本のみならず世界中で抗生物質の乱用による耐性菌の蔓延が発生し医療の中で極めて重大な問題となっているためイミペネム・シラスタチン(チエナム®)も添付文章のなかで、「VIII.安全性(使用上の注意等)に関する項目」として「5. 重要な基本的注意とその理由」の中で「8.2. 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。」、[V. 治療に関する項目]として「2. 効能又は効果に関する注意」の中で「「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。」と記載されていることが現状で、重篤な状態の感染症の患者に限定して使用することが日本のみならず世界中で推奨されているの抗生物質であるにも関わらず、感染症でもない変形性関節症であるへバーデン結節に使用することは、自由診療とはいえ強い違和感があります。