整形外科専門医による「膝の痛み」におすすめの5つの漢方薬による治療

膝の痛みには漢方薬が効きます

「膝が痛い」という方はかなり多くおられます。
そして、膝の痛みには漢方薬が良く効きます。

このような話をすると、「膝の痛みに効く漢方薬なら知っているよ、防已黄耆湯でしょ!」という返答がよくきます。
しかし、残念ながら、「防已黄耆湯」は実はあまり膝の痛みに効きません
膝の痛みによく効く漢方薬は、治打撲一方、麻杏薏甘湯、八味丸、薏苡仁湯、二朮湯です。
エメラルド整形外科疼痛クリニックでは、膝の痛みに対しこれらの漢方薬をよく処方しており、実際に多くの方の症状が改善しています。

膝の痛みの一般的な治療法

膝の痛みの最も大きな原因は「加齢」ですのでが、膝の痛みで病院に行っても、「年齢の影響だから仕方ない」と言われ、痛み止め膝関節内注射だけの治療を受けている方は相当多いことと思います。

もちろん、痛み止めや関節内注射が良くないといっているのではありません。
しかし、痛み止めの非ステロイド性抗炎症薬には、程度の差はありますが、腎臓、心臓、胃腸を悪くする副作用があります。
膝関節内注射も、体の外から薬物を注入するため、細菌などのバイ菌が関節の中に入ってしまい、化膿性膝関節炎となり大変な治療をしなければならない危険と背中合わせです。

リハビリテーションは安全性の高い治療法

リハビリテーションは、このような副作用がない安全性の高い治療法です。
エメラルド整形外科疼痛クリニックでは、1人の患者さんに対し1人の理学療法士が責任をもって施術を行う担当制を採用しており、1日に2単位40分と比較的長い時間で膝の痛みの患者さんにリハビリテーションを行い、高い治療効果が出ています。

「通院する時間がない」方には漢方薬がおすすめです

しかし、「リハビリは良いと思うけど、通院する時間があまりとれない」という方も多いことでしょう。そのような方には、漢方薬をおすすめします。

膝の痛みにおすすめの5つの漢方薬

膝の痛みには、治打撲一方、麻杏薏甘湯、八味丸、薏苡仁湯、二朮湯です。

最もおすすめなのは、治打撲一方

膝の痛みに治打撲一方

膝の痛みに最もおすすめする漢方薬は、治打撲一方です。

治打撲一方は、文字通り「打撲を治療するための方剤」で、ケガ・打撲に良く効きます。
膝の痛みは、言ってしまうと「関節」のケガ・打撲なので、治打撲一方が効きます。

治打撲一方は、「虚証」から「実証」まで使用することができるため、「かなりの虚証」でなければ使用可能です。
このように治打撲一方は多くの方に使用可能なため、最もおすすめです。

ですが、治打撲一方には大黄という生薬が入っているため、下痢をすることがあります。
治打撲一方を内服して下痢をする場合には、飲む回数を1日1~2回に減らしたり、別の漢方薬に変更することが望ましいです。

2番目におすすめなのは、麻杏薏甘湯

膝の痛みに麻杏薏甘湯

膝の痛みに2番目におすすめする漢方薬は、麻杏薏甘湯です。

麻杏薏甘湯は、関節リウマチ(東洋医学では風湿)に効くように、「関節」に効く漢方薬です。
そのため、変形性膝関節症などによる膝の痛みに有効です。

麻杏薏甘湯は、マイルドな漢方薬のため、多くの方に使用することができますが、麻黄という生薬が入っているため、心疾患をお持ちの方は避けることが望ましいです。

3番目におすすめなのは、八味丸

膝の痛みに八味丸

膝の痛みに3番目におすすめする漢方薬は、八味丸です。

整形外科専門医による「腰痛」におすすめの3つ漢方薬による治療でご紹介したように、八味丸は「腎虚」という証に有効な漢方薬です。
「腎虚」とは東洋医学独自の概念で、「腎」は生命力、「虚」は不足しているということを意味しますので、「腎虚」は、「生命力が不足している状態」ということになります。
ですから、50代以上になり、ちょっと体力が落ちているな、という方の膝の痛みであれば八味丸が効く可能性があります。

やはり「ウチダの八味丸M」の一択

同じく整形外科専門医による「腰痛」におすすめの3つ漢方薬による治療でご紹介したように、エメラルド整形外科疼痛クリニックがおすすめする八味丸は、クラシエ社が提供している「ウチダの八味丸M」のみです。

医療機関から処方される保険適応の漢方薬の多くはエキス剤です。
そして、エキス剤にすると生薬の揮発性の有効成分はなくなってしまうと言われています。
「~丸」という名前の漢方薬は、揮発性の有効成分も重要であったため、「煎じ薬」にせずにあえて丸薬としたと考えられます。
そのため、「~丸」である八味丸あるいは八味地黄丸は、丸薬であるときに最も効力を発揮すると想定されます。
「ウチダの八味丸M」は保険適応の八味地黄丸のなかでは、唯一の丸薬です。
院長の経験でも、効果がほかのエキス剤の八味地黄丸より明らかに優れているため、エメラルド整形外科疼痛クリニックで使用する八味地黄丸は、「ウチダの八味丸M」の一択です。

4番目におすすめなのは、薏苡仁湯

膝の痛みに薏苡仁湯

膝の痛みに4番目におすすめする漢方薬は、薏苡仁湯です。

薏苡仁湯は、麻杏薏甘湯と同様に、関節リウマチ(東洋医学では風湿)などの「関節」の症状に効きます。
効果は麻杏薏甘湯よりやや強い印象ですが、効く確率は麻杏薏甘湯より少し劣ります。

さらに、薏苡仁湯はやや副作用が強い印象がありますので、先の治打撲一方、麻杏薏甘湯、八味丸があまり有効でない場合に限定して使用するがよいでしょう。

5番目におすすめなのは、二朮湯

膝の痛みに二朮湯

膝の痛みに5番目におすすめする漢方薬は、二朮湯です。

五十肩の万能薬である二朮湯は、その名前のとおり蒼朮白朮という2つの「朮」という名前の生薬が入っています。
蒼朮も白朮も「水毒」に良く効く生薬ですので、「関節に水が溜まっている状態」である変形性膝関節症などの膝の痛みに有効です。

ただし、有効性としては前述の4つの漢方薬の方が勝りますので、これらが効果がない場合に試すことをおすすめします。

まとめ

整形外科専門医による「膝の痛み」におすすめの5つの漢方薬による治療
①治打撲一方
②麻杏薏甘湯
③八味丸
④薏苡仁湯
⑤二朮湯


エメラルド整形外科疼痛クリニック

札幌市北区麻生に位置し、多彩な独自の治療法で痛みを治療する整形外科クリニック
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・骨粗鬆症のに対する適切な食事
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