整形外科専門医による「五十肩」におすすめの4つの漢方薬による治療

整形外科専門医による「五十肩」におすすめの4つの漢方薬による治療

五十肩(四十肩、正式な病名は肩関節周囲炎)について

「五十肩になって病院で治療を受けたけれど、あまり良くなってない!」という方はかなり多いと思います。
実際、エメラルド整形外科疼痛クリニックにもそのような患者様が多く来院されています。
いったい、五十肩には良い治療法はないのでしょうか?

実は、五十肩には有効な治療法があります
しかし、残念ながらその有効な治療法はほとんど知られていません

五十肩に効く治療法とは、
①肩鎖関節への注射
②漢方薬
③デュロキセチン
④リハビリテーション

です。
エメラルド整形外科疼痛クリニックでも、①⇒②⇒③⇒④の順に治療を行っています。

なお、五十肩に対し一般的に行われている肩関節内への注射は正直あまり効きません
その理由は、五十肩の本当の原因は肩鎖関節ですが、一般的には肩鎖関節ではなく肩関節に注射が行われるからです。
こちら(五十肩や五十肩の治療法の詳細)については、https://www.emerald-orthopedic-pain-clinic.com/disease-treatment/diseases/shoulder/をご覧ください。

ここでは、②の漢方薬について詳しくご紹介します。

五十肩の治療に漢方薬をすすめる理由

整形外科専門医による五十肩におすすめの4つの漢方薬

五十肩の治療には、一般的にはほとんど漢方薬は使用されません。
しかし、整形外科専門医である院長が開発したエメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2の結果から、治打撲一方、麻杏薏甘湯、二朮湯、薏苡仁湯という4つの漢方薬を使用した場合、有効率は79.1%と非常に良好な治療成績となることがわかりました。
(出典:益子竜弥. 古典的漢方医学概念に依らない漢方薬の運用2:エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2 関節外科、44巻、p272-280、2025)

漢方薬は「効果が発現するまで時間がかかる」と考えている方が多いようです。
実際に臨床現場でも、患者様からそのような話が出てきます。
しかし、患者様も薬である以上、効果は速やかに発現します。
速ければ1包から症状が改善することがありますが、病態に漢方薬が合っていれば、2~3日で症状は改善します。
漢方薬の医学学会でも、「漢方薬は効果が出るまで2~3か月はかかることが普通だ」と発言される医師がいますが、それは「そもそも漢方薬が病態にあっていないだけ」です。

五十肩におすすめの4つの漢方薬

最もおすすめの漢方薬は、治打撲一方

整形外科専門医による五十肩におすすめの漢方薬 治打撲一方

五十肩に最もおすすめの漢方薬は、治打撲一方です。
有効率は、52.6%と良く効きます。

(出典:益子竜弥. 古典的漢方医学概念に依らない漢方薬の運用2:エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2 関節外科、44巻、p272-280、2025)


治打撲一方は、名前のとおり「打撲を治療するための方剤」で、ケガや打撲などの結果に生じる「炎症」に良く効きます。
五十肩はケガではありませんが、「肩鎖関節」「炎症」が起きていますので、治打撲一方が効くことになります。

漢方薬は、「虚証」や「実証」などの「証」を考えて使用することが基本原則ですが、治打撲一方は、「かなりの虚証」でなければ使うことが可能です。

治打撲一方には大黄という生薬が入っているため、下痢をすることがあります。
治打撲一方を内服して下痢をする場合には、飲む回数を1日1~2回に減らしたり、別の漢方薬に変更することが望ましいです。

2番目におすすめの漢方薬は、麻杏薏甘湯

整形外科専門医による五十肩におすすめの漢方薬 麻杏薏甘湯

五十肩に2番目におすすめする漢方薬は、麻杏薏甘湯です。
有効率は、33.3%です。

(出典:益子竜弥. 古典的漢方医学概念に依らない漢方薬の運用2:エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2 関節外科、44巻、p272-280、2025)

漢方薬の専門医にもあまり知られていないことですが、麻杏薏甘湯は「関節」の症状に良く効きます。
そのため、肩鎖関節の「炎症」である五十肩には麻杏薏甘湯が効き可能性があります。

ここが大切なことですが、有効率自体は治打撲一方や二朮湯より低いのですが、「麻杏薏甘湯しか効かない」ということもしばしばあるので、やはり見逃せない漢方薬です。

麻杏薏甘湯はあまり副作用は生じないため、比較的安心して使用できます。
ただし、麻黄という生薬が入っていますので、心疾患がある方は使用しない方がよいです。

3番目におすすめの漢方薬は、二朮湯

整形外科専門医による五十肩におすすめの漢方薬 二朮湯

五十肩に3番目におすすめする漢方薬は、二朮湯です。
有効率は、45.0%と良好な値です。

(出典:益子竜弥. 古典的漢方医学概念に依らない漢方薬の運用2:エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2 関節外科、44巻、p272-280、2025)

二朮湯は、肩疾患の特効薬で、五十肩にも効きます。
有効率では治打撲一方にやや劣りますが、
・ほぼ副作用がない
「かなりの虚証」から「実証」まで使用可能
という特徴があります。

4番目におすすめの漢方薬は、薏苡仁湯

整形外科専門医による五十肩におすすめの漢方薬 薏苡仁湯

五十肩に4番目におすすめする漢方薬は、薏苡仁湯です。
有効率は、22.2%と高くはありません。

(出典:益子竜弥. 古典的漢方医学概念に依らない漢方薬の運用2:エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2 関節外科、44巻、p272-280、2025)


麻杏薏甘湯同様、「関節」の症状に効きますが、漢方薬に詳しい医師にもあまり知られていない漢方薬です。
効果は麻杏薏甘湯よりやや強い印象ですが、有効率は少し劣ります。
薏苡仁湯はやや副作用が強いため、治打撲一方、麻杏薏甘湯、二朮湯があまり効果がない場合に限定して使用することがよいでしょう。

五十肩に治打撲一方や二朮湯は良く効くので、口コミでもよいので教えてあげてください

実は、「五十肩」に困っている方は、かなり多いです。
標準的な治療を行っている整形外科では、「五十肩」に対しては、NSAIDsという非ステロイド性抗炎症薬や、関節内注射(あまり効きません)、リハビリテーションしか行われません。
しかし、上記のように「五十肩」には治打撲一方や二朮湯などの漢方薬はかなり有効ですので、ホームぺージのサイトではなく口コミでもよいので、ぜひ、教えてあげて下さい。

まとめ

整形外科専門医による「五十肩」におすすめの4つ漢方薬による治療
①治打撲一方
②麻杏薏甘湯

③二朮湯
④薏苡仁湯

エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2による五十肩に有効な漢方薬

エメラルド整形外科疼痛クリニック

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