整形外科専門医による「肩こり」におすすめの4つの漢方薬による治療

肩こりについて

肩こりにお困りの方はかなり多いです。
厚生労働省による「平成28年 国民生活基礎調査の概況」でも、肩こりは男性で2位、女性で1位と、腰痛と並んで最も頻度の高い疾患で、いわゆる国民病です。

厚生労働省からの肩こりのデータ

(出典:厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査の概況」)

肩こりは治療対象疾患です

「肩こりなんか病院に受診して良いのかしら?」と考えている方がおられます。
結論から言うと、「肩こりは立派な病気なので、もちろん病院を受診してOK!」です。
むしろ肩こりはキチンと治療をすれば良くなる可能性が高いので、ぜひ、医療機関への受診を勧めます。

中程度~重度の肩こりには漢方薬がおすすめ

肩こりに対して一般的に行われている治療法は、内服薬や低周波です。
肩こりの症状が軽い方にはこれらの治療で十分なことが多いですが、中程度~重度の肩こりの方には漢方薬をおすすめします

その理由は、「肩こりに漢方薬がよく効くから」です。
実際、エメラルド整形外科疼痛クリニックでは、多くの肩こりの患者様に漢方薬を処方し、症状が改善しています。

肩こりの原因や治療法の詳細は、https://www.emerald-orthopedic-pain-clinic.com/disease-treatment/diseases/stiff-shoulder/をご覧ください。

肩こりにおすすめの4つの漢方薬

肩こりには、漢方薬がかなり効きます。
具体的には、葛根湯朮附湯、治打撲一方、葛根湯、芍薬甘草湯の順におすすめします。

最もおすすめなのは、葛根加朮附湯

肩こりに最もおすすめな葛根加朮附湯

葛根湯という名前を聞いたことがある方は多いと思いますが、葛根加朮附湯という名前をご存じの方はきわめて稀だと思います。
「葛根」という生薬は肩こりに良く効く生薬で、この葛根が入った「実証」用の漢方薬が葛根湯で、「虚証」用が葛根加朮附湯です。

東洋医学・漢方薬では「証(西洋医学でいう病名のようなもの)」で心身の状態を表現しますが、「実証」元気な状態「虚証」元気でない状態を意味します。
つまり、肩こりがあって元気な方は葛根湯がよく、肩こりがあって元気がない方には葛根加朮附湯が良いということになります。

肩こりの方はどちらかというと「元気ではない方」が多いため、葛根加朮附湯を最もおすすめの漢方薬としました。

2番目におすすめなのは、治打撲一方

肩こりにも万能薬の治打撲一方

肩こりに2番目におすすめする漢方薬は、治打撲一方です。

治打撲一方は、文字通り「打撲を治療するための方剤」で、ケガや打撲に良く効きます。
肩こりは僧帽筋のダメージが主な原因ですので、治打撲一方が効きます。

治打撲一方は、「虚証」から「実証」まで使用することができるため、「かなりの虚証」でなければ使用可能です。
このように治打撲一方は多くの方に使用可能なため、2番目におすすめとしました。

なお、治打撲一方には大黄という生薬が入っているため、下痢をすることがあります。治打撲一方を内服して下痢をする場合には、飲む回数を1日1~2回に減らしたり、別の漢方薬に変更することが望ましいです。

3番目におすすめなのは、葛根湯

実証の肩こりに葛根湯

肩こりに3番目におすすめする漢方薬は、葛根湯です。

前述のように葛根湯には「葛根」が入っているため肩こりに有効です。
しかし、「実証」の漢方薬ですので、元気がよい方にしか使ってはいけません
そのため、葛根湯は、3番目におすすめとしました。

4番目におすすめなのは、芍薬甘草湯

肩こりにおすすめな芍薬甘草湯

肩こりに4番目におすすめする漢方薬は、芍薬甘草湯です。

芍薬甘草湯は、「こむら返り」に効くという話を聞いたことがある方や、実際に飲んだことがある方が多いと思います。
このように芍薬甘草湯は筋肉の痙攣による痛みに有効なため、僧帽筋の症状である肩こりに有効です。

ただし、芍薬甘草湯は文字通り芍薬と甘草という生薬からできており、甘草の量が最も多い漢方薬です。
そのため、「偽性アルドステロン症」という副作用を最も起こしやすい漢方薬ですので60代以上の方は注意が必要です。
エメラルド整形外科疼痛クリニックでは、60代以上の方に対しては芍薬甘草湯は頓服とし、場合により芍薬甘草湯と似たような漢方薬である桂枝加芍薬湯を処方しています。

まとめ

整形外科専門医による「肩こり」におすすめの4つの漢方薬による治療
①葛根加朮附湯
②治打撲一方
③葛根湯
④芍薬甘草湯


エメラルド整形外科疼痛クリニック

札幌市北区麻生に位置し、多彩な独自の治療法で痛みを治療する整形外科クリニック
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