腰痛は最も頻度の高い疾患
腰痛でお困りの方はかなり多いです。
厚生労働省による「平成28年 国民生活基礎調査の概況」でも、最も頻度の高い疾患は、男性で1位、女性で2位が腰痛です。
しかし、「なかなか病院に通う時間がとれない」、「病院で治療をしたけれど、あまりよくならなかった」という方が多いのではないでしょうか?
(出典:厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査の概況」)
腰痛の治療に漢方薬をすすめる理由
腰痛の治療に漢方薬を勧める理由は、「腰痛に漢方薬がよく効くから」です。
整形外科専門医である院長が開発したエメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2の結果から、変形性膝関節症に対する4種類の漢方薬による治療の有効率は66.0%と良好な治療成績であることが報告されています。
(出典:益子竜弥. 古典的漢方医学概念に依らない漢方薬の運用2:エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2 関節外科、44巻、p272-280、2025)
また、その4種類の漢方薬は、
・「かなりの虚証」から「かなりの実証」まで対応可能
・表証、裏証、寒証、気虚、水毒、腎陽虚と6つの証に対応可能
と、多種多様な病態に対応可能な多様性のある漢方薬であることが特徴です。
腰痛におすすめの4つの漢方薬
最もおすすめの漢方薬は、治打撲一方
腰痛に最もおすすめする漢方薬は、治打撲一方です。
有効率は73.2%とかなり高いです。
(出典:益子竜弥. 古典的漢方医学概念に依らない漢方薬の運用2:エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2 関節外科、44巻、p272-280、2025)
治打撲一方は、名前のとおり、「打撲を治療するための方剤」ですから、整形外科疾患に良く効きます。
腰痛も腰のケガであることが多いため、治打撲一方が効きます。
漢方薬は、「虚証」や「実証」などの「証」を考えて使用することが基本原則ですが、治打撲一方は、「かなりの虚証」でなければ使うことができますので、ほとんどの方に使用することができる万能薬です。
ただ、1つだけ注意点があります。
それは、治打撲一方は下痢をすることがあるということです。
治打撲一方には大黄という生薬が入っており、この大黄のために下痢をすることがあります。
そのため、治打撲一歩を内服して下痢をした場合には、飲む回数を1日3回から2回や1回に減らしたり、別の漢方薬に変更することを検討します。
2番目におすすめの漢方薬は、二朮湯
腰痛に2番目におすすめの漢方薬は、二朮湯です。
有効率は61.1%とかなり高いです。
(出典:益子竜弥. 古典的漢方医学概念に依らない漢方薬の運用2:エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2 関節外科、44巻、p272-280、2025)二朮湯は、実は五十肩(四十肩という方もいますが、正式病名は肩関節周囲炎です)の特効薬です。
二朮湯は、「水毒」に効く漢方薬で、肩疾患の特効薬なのですが、意外に腰痛にもよく効きます。
3番目におすすめの漢方薬は、八味丸
腰痛に3番目におすすめする漢方薬は、八味丸(八味地黄丸)です。
有効率は42.9%です。
(出典:益子竜弥. 古典的漢方医学概念に依らない漢方薬の運用2:エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2 関節外科、44巻、p272-280、2025)
ここで1つめの重要なポイントがあります。
それは、八味丸は、「ある程度以上の年齢の方」に効きやすいということです。
だいたい、50代以上の方です。
八味丸は「腎陽虚」という証に有効な漢方薬です。
つまり、八味丸は「腎虚」の腰痛には効くけれど、それ以外の腰痛にはあまり効かないということです。
「腎陽虚」は東洋医学独自の概念で、「腎」は生命力を意味し、「虚」は不足しているという意味ですので、「腎陽虚」は、「生命力が不足している状態」ということになります。
ですから、50代以上になって、ちょっと体力や生命力が落ちているな、という方の腰痛であれば八味丸が効く可能性があるということなります。
「ウチダの八味丸M」の一択
ここで2つめのポイントがあります。
それは、エメラルド整形外科疼痛クリニックがおすすめする八味丸は、クラシエ社が提供している「ウチダの八味丸M」のみということです。
一般的に医療機関から処方される保険適応の漢方薬はエキス剤です。
実は、エキス剤にすると生薬の揮発性の有効成分はなくなってしまうと言われています。
「~丸」という名前の漢方薬は、揮発性の有効成分も重要であったため、「煎じ薬」にせずに、あえて丸薬としたと考えられます。
ですから「丸」がついている八味丸あるいは八味地黄丸は、丸薬であるときに最も有効となります。「ウチダの八味丸M」は保険適応の八味地黄丸のなかでは唯一の丸薬です。
院長の経験でも、「ウチダの八味丸M」は効果がほかのエキス剤の八味地黄丸より明らかに優れているため、エメラルド整形外科疼痛クリニックで使用する八味地黄丸は、「ウチダの八味丸M」一択です。
4番目におすすめの漢方薬は、芍薬甘草湯
腰痛に4番目におすすめする漢方薬は、芍薬甘草湯です。
有効率は44.4%です。
(出典:益子竜弥. 古典的漢方医学概念に依らない漢方薬の運用2:エメラルド式革新的漢方薬選択法Ver.2 関節外科、44巻、p272-280、2025)
芍薬甘草湯は、「こむら返り」に効くという話を聞いたことがある方や、実際に飲んだことがある方が多いと思います。
このように芍薬甘草湯は筋肉の痙攣による痛みに有効なため、背筋の痛みである腰痛に有効です。
ただし、芍薬甘草湯は文字通り芍薬と甘草という生薬からできており、甘草の量が最も多い漢方薬です。
そのため、「偽性アルドステロン症」という副作用を最も起こしやすい漢方薬ですので60代以上の方は注意が必要です。
エメラルド整形外科疼痛クリニックでは、60代以上の方に対しては芍薬甘草湯は頓服とし、場合により芍薬甘草湯と似たような漢方薬である桂枝加芍薬湯を処方しています。
まとめ
整形外科専門医による「腰痛」におすすめの3つ漢方薬による治療
①治打撲一方
②二朮湯
③八味丸(ただしウチダの八味丸M)
④芍薬甘草湯
エメラルド整形外科疼痛クリニック
札幌市北区麻生に位置し、多彩な独自の治療法で痛みを治療する整形外科クリニック
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内容としては、
・骨粗鬆症を治療する理由
・骨粗鬆症の最新治療の内容
・骨粗鬆症の本当の原因:牛乳や動物性タンパク質の取りすぎ、日光浴不足
・カルシウム神話の誤り:カルシウムを多く摂取しても骨折する
・骨粗鬆症のに対する適切な食事
・骨粗鬆症に対する適切な運動
・健康になるための心拍数などを基準にした運動基準
などについて記載していますので、骨粗鬆症の方にも、骨粗鬆症でない方にも大いに参考になる書籍と自負しています。