整形外科の重大な弱点

整形外科には重大な弱点がある

整形外科は、頭部以外のほぼ全身の運動にかかわる部分の痛みを治療する診療科ですので、「首・腰などの痛み、四肢の関節の痛み」に困って整形外科を受診することは正解です。

しかし、整形外科には重大な弱点があります。

弱点①:整形内科は存在しない

消化器科や呼吸器という分野には、消化器内科や呼吸内科があり、さらに消化器外科、呼吸器外科があります。
つまり消化器や呼吸器などには、保存的治療を専門とする内科と、手術を専門とする外科があるということです。

一方、整形外科は、上記のように運動器を治療する診療科です。
しかし、整形外科はありますが、整形内科という診療科は存在しません

そのため、整形外科医は、本来は、整形外科と整形内科の両方を担当する必要があります。

弱点②:整形外科医は手術以外には興味がない

前述のように、整形外科医は、本来、整形外科と整形内科の両方を担当する必要がありますが、残念なことに多くの整形外科医は、手術を最重要視し手術以外の保存的治療は重要視していないことが多いです。
そのため、手術についてはよく勉強するし、手術についても講習会も多く開催されています。
学会なども発表や講演も、ほとんどは手術に対する内容です。

「整形外科は手術の科だから、手術だけすればいい」と言っている整形外科はけっこう多いです。
上記のように、多くの整形外科医は手術には興味がありますが、手術以外のことは興味がないことが実情です。

弱点③:整形外科医は画像を重要視しすぎる

整形外科は、X線やMRI、エコーなどの画像を重要視します。
もちろん、画像から多くの情報を得ることができるので、重要であることに異論はありません。
しかし、画像に偏重する傾向にあることは確かです。
そして、画像で描出されないことは重要視しません

それが、痛みです。

弱点④:整形外科医は痛みに詳しくない

残念ながら、大多数の整形外科医は痛みに詳しくありません
その詳細をお伝えします。

疼痛治療剤の知識に乏しい

整形外科医は、残念ながら、疼痛治療剤(西洋医学に基づいた痛みに対する治療薬)の知識に乏しいです。
ここ10年くらいで、疼痛治療剤が日本でもどんどん使用可能になりました。
それに伴い、製薬メーカーも積極的に、勉強会や講演会を開催し、新しい疼痛治療剤の説明や使い方に関する啓蒙活動を行いました(製薬メーカーが啓蒙活動を行うことは決して悪いことではなく、適切な情報を伝えることは、むしろ望ましいことです)。

これらの活動にもかかわらず、残念ながら、疼痛治療剤を適切に使用している整形外科医はかなり少ない状況です。
次項で詳しくご説明いたします。

疼痛治療剤を適切に使用している整形外科医は、かなり少ない

前述のように、疼痛治療剤を適切に使用している整形外科医はかなり少ない状況です。
どうしてそのようなことが分かるかというと、学術集会の発表内容、医学論文、患者さまのご紹介や患者様希望による当院への転医などで、以前にどのような薬が、どのように使用されていたかがわかるからです。

もっとも端的な例が、プレガバリン(リリカ®)です。
プレガバリンは、2010年に日本で使用可能になりました。
以下に、いくつかの情報源を列挙しますが、このどれにも記載されている「用法・用量」が、「神経障害性疼痛 通常、成人には初期用量としてプレガバリン1 日150 mg を1 日2 回に分けて経口投与し、その後1 週間以上かけて1 日用量として300 mg まで漸増する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1 日最高用量は600 mg を超えないこととし、いずれも1 日2 回に分けて経口投与する。」です。

これを見ると、プレガバリンを初めて使うときには、まずは1 日150 mg を1 日2 回に分けて経口投与し、効果などに応じて漸増していくことになります。
しかし、現状では多くの整形外科医は、プレガバリンを、1 日50 mg を1 日2 回に分けて経口投与し、ずっと継続投与していることがほとんどです。

これは、明らかに適切な薬の使い方ではありません
適切な薬の「用法・用量」よりも、低用量であり、プレレガバリンの効果が十分に発揮されない可能性があります。
残念なことに、整形外科医によっては、プレレガバリン1日50mgを使用し症状が改善しながなかった場合に、「プレガバリンが効かないので手術をしましょう」と説明しているという話も良く聞きます。
むろん、これは不適切な治療方針です。

対して、ペインクリニック医の処方は、適切な用量・用法が多い印象があります。

参考サイト 
ファイザー社
おくすり110番
日経メディカル
KEGGデータベース

東洋医学の知識・経験は限りなくゼロ

ほぼ全員といっていいくらい多くの整形外科医は、東洋医学に対する知識・経験が限りなくゼロです。しかし、これは整形外科に限った話ではなく、多くの診療科で同様です。
漢方薬は、痛みに限らず医療全般で大いに有効なため、健康保険の適応となっているのですが、極めて残念なことです。

心に対する知識もほぼゼロ

西洋医学では、長らく、心と身体は別であるという二元論に基づいて治療を行ってきました。
そのため、診療科も、整形外科や麻酔科などの主に身体の治療をする診療科と、精神科のように心の治療をする診療科が分かれています。

ただ、最近では心と身体は別であるという二元論は過ちであったと広く認識されるようになりました。特に痛みに関しては、心と身体はお互いに影響しあうことが、現在では世界的に認知されており、国際疼痛学会(IASP)も、2020年に、「痛みは、実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する、あるいはそれに似た、感覚かつ情動の不快な体験」と定義し、痛みには感覚(身体)と情動(心)が関係することを明確にしています。

この定義からは、痛みは①心と②身体が明らかに関係するため、従来行われていた②身体に対する治療だけでは不十分であり、①心に対する治療も併用する必要があるということになります。

しかし、現状では、ほかの多くの身体の診療科と同様に、整形外科でも②身体に対する治療しか行われておらず、例えば認知行動療法のような①心に対する治療を行っている整形外科医はほぼ皆無と言えます。

エメラルド整形外科疼痛クリニックでは、認知行動療法をさらに改良した自主的認知行動療法を必要に応じて行っています。

東洋医学は心の治療も可能

東洋医学には、心身一如(心と身体は1つのごとし)という概念があり、心と身体はお互いに影響しあうとの考えで治療が長らく行われてきました。
そのため、漢方薬の多くは、心と身体の両方を同時に治療することができます。

そのため、エメラルド整形外科疼痛クリニックでは、痛みがある患者様に対し、①心と②身体の両方を治療するため、漢方薬を積極的に使用して治療を行っています。

まとめ

整形外科の重大な弱点
・整形内科は存在しない
整形外科医は手術以外には興味がない
・整形外科医は画像を重要視しすぎる
・整形外科医は痛みに詳しくない


エメラルド整形外科疼痛クリニック

札幌市北区麻生に位置し、多彩な独自の治療法で痛みを治療する整形外科クリニック
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